2005年10月

聖テレジアに祈りながら
鈴木三蛙神父

先日NHKで「メダカの学校をつくりたい・・」という番組を放映していました。
自分達の住んでいるところからメダカが居なくなった。
もしかしたら、まだメダカが自分達の住む家の近くにいるかも知れない。
それをさがしだして殖やしまた小川に戻そう。
そしてメダカの住める環境をつくろう、子ども達にメダカの住む小川を残したい・・というのです。
メダカは日本中に分布しています。
でも地域的に遺伝子が異なり、よそのメダカをつれてきて殖やすのは好ましくないのだそうです。
それぞれの特徴を残すその地域の個体を殖やす事が一番との事でした。

日本には沢山の外国の方が来ています。
その方々もいずれは祖国に戻りたいと考えています。
とすれば、必要な事は、日本という社会の中に生活する彼らに日本の文化を押しつけて、彼らの個性を失わせるような同化を強要してはいけないということでしょう。

番組を見ながら
「今わたしたちが果たすべき役割は何なのか。ダブルの子として、二つの文化を受け継ぐ者として、それぞれの文化をもちながら二つの文化の、その架け橋となれるように援助する事が必要なのではないのか。わたしたちの教会はそのような役割を果たしているのだろうか・・・。」
そのような事に思いをはせました。
日本の教会に来ている外国籍の人々、かれらは新しいかたちの宣教者です。
彼らの祈りが日本の片田舎まで届きはじめているのです。

そして浦和教会の第四主日のミサの中で、英語、タガログ語、スペイン語、日本語・・と、それぞれの言葉で捧げられる主の祈りを聞きながら、この多国籍ミサの大切さを思いました。

「主日に浦和教会に集まる時に、自分達の言葉で祈る事の出来る幸せ。その幸せがより大きなものとなるように毎日祈りかつ働きなさい・・・」
主の声が聞こえたように思えました。

10月1日は当教会の保護の聖人聖テレジアの祝日。
テレジアは修道生活の単調な毎日の中で宣教師のために祈りつづけ、宣教者と宣教地の保護聖人となりました。
聖人の取り次ぎを願いながらわたしたちの多国籍ミサを大切に育ててゆきましょう。

教会報 2005年10月号 巻頭言

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