2006年5月

楽泉園に行ってきました
藤田恵神学生

中高生会で3月25、26日に草津の国立療養所栗生楽泉園に行ってきました。
今回の旅行は、社会に根強い差別の問題を、中学生の目と耳で直接体験してもらおうという目的で企画しました。

わたしは神学生になった最初の年の冬休み(2004年正月)、楽泉園に出かけました。
当時36歳でしたが、ハンセン病元患者の方と接するのは初めて。
とても緊張していましたが、会って話を聞いているうちに、自分はもっと早くここを訪れるべきであったと感じました。

元患者さんの口から、テレビや新聞では伝わらない、人生の意味を問うた壮絶な戦いと、信仰物語が飛び出してきたからです。
私たちは、マスメディアを通じて情報を得ると、すっかり知った気になってしまいます。
しかし、現場を訪れると伝わってくるのは、熱い人生の重みと息遣いです。

そのとき、「自分が元気なうちに、この思いを伝えたい」という気持ちを聞かされたのですが、今回の訪問は2年越しにそのときの約束の実現となりました。
6人の中高生は、今回の旅行で何かを得ています。
彼らがこれから生きていく中で、つらいことや挫折を経験するでしょう。
しかし生きることのすばらしさ、いのちを与えられていることの尊さを、先輩の信仰から学びとってくれたはずです。

イエス様が率先してなされた、弱者への優しいまなざしと、苦しみ悲しむ人々へ共感する心を、中高生が育んでいければと思います。

教会報 2006年5月号 巻頭言

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