2008年3月

枯れた木々も、一斉に花を
鈴木三蛙神父

高さ1メートルちょっとの梅の木が花を咲かせた。
風に乗って心和ませる香りがただよう。

枯れかかった盆栽の木を地植にしたところ息を吹き返した。
5年ほどでしっかりと根付き、幹周りも太くなり、もう枯れる心配はなさそうだ。
これからは毎年30センチ以上は枝を伸ばすだろう。
丁寧に剪定して枝振りを良くしてあげよう・・そんな風に思っている。

病院生活20年以上になる青年が今度退院する。
すでに病状が安定し退院できるのに、受け入れ先がないため何10年も入院していた社会的入院。
その長い間の病院生活にピリオドを打ち、社会に出るためにはかなりの勇気がいる。
退院促進の職員が一緒にたびたび外出し、これまで忘れていた社会生活のイロハを学び直す手助けをしている。
電車の切符の買い方やバスへの乗り方も、レジでの支払いも全てが新しい。
退院しグループホームやアパートでの生活を始めると、日に日に表情が豊かになる。
これまで入院中には見せなかった本来の姿を見せるようになり、生活が生き生きとして、地域に根付いてゆくのを感じさせられる。
そしてそんな姿を目にすると未だ入院している仲間が自分も退院しようかと考えるようになる。

長い冬を通り過ぎて、枯れたように見える木々も一斉に花を咲かせる。
教会前の通りに目を向けると、街路樹の木蓮も大きく花芽をふくらませている。

間もなく復活祭。
その日わたしたちは主が十字架の死から命へと移った出来事を祝う。
そしてこの季節、自然界も復活の喜びを思い出させてくれる。

私たちも古い自分に死んで、新しい命に生まれ出直そう。
主イエスと共に。
アレルヤ。

教会報 2008年3月号 巻頭言

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