2008年8月

苦労はあるけど幸せです
齋藤紳二助祭

ある外国人の姉弟を4年間にわたって支援してきました。
幸いなことに、弟の方は日本で出会ったドイツ人女性と結婚したために、最近ドイツに入国を許可され、新たな生活を始めました。
姉の方は現在カナダに定住するためのてつづきをすすめています。
まだ、実現するかどうかは未知数です。

ドイツの弟からメールがとどきました。
大変なカルチャー・ショックと戦っている最中だそうです。
ドイツには日本ならどこででも見かける安売り店舗がないといいます。
100円ショップなどはどこにもなく、家電製品は日本に比べて値段が高く、そろえようにも資金が足りず、今のところはテレビも電子レンジもコンピュータもなしで、「原始生活です」とのこと。
買い物をすれば「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」「またどうぞ」と度々店員から声がかかる日本と違いまったく無愛想で、店員は商品を売ってしまうともう客には無関心になってしまうとも記しています。
4年間の滞日生活ですっかり日本式の生活になじんでしまった彼には、驚きの連続です。

その反面、赤ちゃんが生まれることが分かると、早速妻の母親が、ゆりかごからベビー・ウェア、哺乳瓶にいたるまでそっくり運び込んでくれたというよい面もあったそうです。
それらの品はすべて、妻が赤ちゃんのときに使ったもの。
20年以上もきちんと保存してあったというので、いかにもドイツ人らしいと感心せざるを得ませんでした。

いろいろな苦労話も、決して面倒くさそうではなく、新たな生活を始める希望にあふれています。
文字通りの「幸せの便り」です。
帰りたくても故国に帰れないたくさんの人々に、こうした幸せを味わわせることのできる日本であってほしいと、心から思いました。

教会報 2008年8月号 巻頭言

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