2010年4月

鈴木國弘神父さまとの別れにあたって
齋藤紳二助祭

ご復活おめでとうございます。
わたしたちが大きな喜びをもって神の慈しみに感謝するこの祭に合わせ、庭の桜も満開の花をつけて賛美を表しているようです。

ただ今年はちょっとさびしいニュースもあります。
わたしたちの教会で八年間お働きくださった鈴木國弘神父さまとのお別れです。
隣りの教会へのご転勤なので、お目にかかる機会はたくさんあるとは思いますが、真っ白な頭髪とお髭の中でほころぶあの笑顔を、今までほど頻繁に拝見できなくなるのが残念です。

神父さまは、いわゆる「司牧的配慮」を大切になさる方です。
矢継ぎ早に指示を出して信徒を引っ張っていくタイプではなく、信徒の思いや計画、考えをよく聞いてくださり、その上で教義にそった対応策を示してくださいました。
また、小さくされた人々とのかかわりを大切にされる方です。
運営に携わっておられる杉戸の障害者の自立支援施設は、創立以来もう二十五年以上が経過しているそうです。
わたしたちには突然教会を訪ねてくる心を病んだ人との対応は苦手なことですが、神父さまは彼らとの交わりも積極的になさいます。
というよりは、喜んでなさっているのかもしれません。
携帯電話の中に、このような人々の電話番号がたくさん登録されているのを見せていただき、びっくりした記憶があります。

「これらのもっとも小さな人たちにしたのは、わたしにしてくれたことなのである」

審判者イエスのこのことばを、神父さまはきっとお聞きになるに違いないと思います。

個人的なことでいえば、叙階直後の私にとって神父さまは最良の教師でした。
神学校で二年間聴講しただけで、実地の訓練を受けていなかった私に、さまざまなことを体験させてくださる一方で、助祭と信徒とのかかわり方について、たくさんのご示唆をくださいました。
典礼に取り組む基本的な心構えをお教えいただいたことも、心から感謝しています。

神父さまがいつまでもお元気で司牧の道を歩み通されるようお祈りいたします。

教会報 2010年4月号 巻頭言

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