2011年5月

小名浜の青い空
吉川孝政神父

3月25日から4月5日まで、私とブラザーNさんと、浦和教会の青年2人(4月28日に帰埼)は、福島県いわき市の小名浜支援センターでボランティアに行ってきた。

小名浜支援センターは、聖公会の小名浜聖テモテ教会(附属聖テモテ幼稚園)の中にあり、超教派での支援活動だった。そこで共に祈り、食卓を囲む体験は、私たちの活動の力の源となった。

2日目にK牧師と私が豊間地区に行ったところ、浜のすぐ上の集落が津波で壊滅状態。まだ自衛隊や警察も入っていなく、地元の助かった人たちが細々とがれきの撤去していた。反対側を見ると静かな海の波。あの海が牙をむいて襲いかかるとは…。

福島は原発の被害もあり、支援センターはそこから50?圏なのでそれほど心配はなかったものの(とは言え当時、いわき市では自主避難と安全宣言が同時に出ていた)、教会の幼稚園の保護者は、「子どものことを思うと不安だ」と話していた。首都圏の電力の原発のために、彼らがおびえながら苦しんでいる。さらに地区によってはまだ断水、停電が続いている。そういうのを見たり聞いたりすると、心が痛んだ。

5日に浦和に戻った時、計画停電もなく普通の時間が流れていた。一体このギャップは何だろうと思うと心が苦しくなった。今も小名浜の人たちがが放射能への不安を抱えながら生活していると思うと、この青い空が恨めしく思う。

しかし短い間ではあったが、ボランテイア活動を通して出会った子どもたちの笑顔に私は希望を感じた。この困難な時を乗り越え、小名浜の青い空の下で子たちたちが何の不安もなく遊べる日が来ることを信じて祈り、支援を続けたい。

「神こそ、わたしの岩、わたしの救い、砦の塔」(詩編62・3)

教会報 2011年5月号 巻頭言

Script logo