2014年5月

ふたりの神父さまについてのささやかな思い出
齋藤紳二助祭

10年ほど前に、ロランド神父様が原因不明の病気で目が見えなくなっときのことです。ギラン・バレ症候群という病名が分かり、板橋の病院で治療が始まったころ、お見舞いにうかがいました。その時は、病室に入ることはできませんでしたが、1か月ほど後に視力が回復してすっかり元気になられた神父さまと、しばらくお話しする機会をもつことが出来ました。その時、うかがったお話しを忘れることができません。

「天国を見てきました。まばゆい光にあふれた広い道がずっと向こうまで続いているんです。この道をたどって行けば、イエスさまに会えると思いました。もう死ぬのは怖くなくなりました。天国があんなに明るい、素晴らしいところだと分かったのですから」

ロランド神父さまは、その明るい道を希望にあふれて歩き通し、とっくにイエスさまのひざ元で、くつろいでおられることでしょう。

同じころ、司牧実習で隔週の日曜日に上尾教会の野上神父さまのもとに通いました。ミサの始まる1時間前に教会の2階にお邪魔します。それからミサの直前まで、神父さまの独演会です。みどり幼稚園の新築工事が進んでいて、お部屋には建築模型が3つ置かれていました。毎週々々設計の特徴について、熱弁をふるわれたのです。毎回同じお話しでした。いかにも幼稚園に情熱を注ぎ尽くした神父さまらしい好ましいお姿が目に浮かびます。ただ独演会のおかげで、ほとんど司牧実習がでませんでしたが……。

「高価な補聴器を買ったら好調でね。私は今青春時代にもどったような気分ですよ」

そうおっしゃった野上神父さま。今から思うと80歳だったわけです。

それぞれに「味わいのある」ふたりの神父さまに、またお目にかかれる日が楽しみです。

教会報 2014年5月号 巻頭言

Script logo