2017年4月

さいたま教区宣教・福音化年の開始-誰でも信者はみな宣教者です
さいたま教区管理者 ペトロ 岡田武夫大司教

「全世界に行って、福音をのべ伝えなさい。全ての人に教えをのべ伝えなさい。私の弟子を作りなさい。」
これは主イエスのご命令です。

日本の司教協議会は、「福音宣教推進全国会議」(NICE)というものを1987年に開催しました。
「開かれた教会づくり」を課題に掲げ、そのために、「聞き、吸い上げ、活かす」という方針を掲げていました。
人々の関心、ニーズ、必要に応え、特に弱い立場に置かれている人、心を病んでいる人、不安や孤独に苦しんでいる人、そういう人の憩い、安らぎ、励ましとなる、そういう共同体でありたいということを目標に掲げました。

わたしたちは、自分たちが、教会に来た方をあたたかく迎えるような教会でありたいと思います。
そして、信者は誰でも、司祭でなくとも、キリスト教を知りたいという方には、自分はどうしてキリスト者になったか、何をどう信じているのか、ということを話すことができるようでありたいと思います。
そのことを自分の言葉で伝える準備をするようにしたいと思います。
そうできるように教会共同体を励まし、育てたいと思うのであります。

【信徒の福音宣教】

すべての信徒は福音宣教するように招かれています。
しかし、信徒は、それぞれの立場、それぞれの召命に応じて宣教すべきです。
この地上にあって、この世の務めを果たしながら、その務めを通して、神の国の到来を告げ知らせるという役割を信徒の方は持っています。
他方さらに、小教区においても、信徒が入門講座、信仰講座、あるいは教会の案内をしていただけるように養成を受けることが非常に大切です。

ただしその場合、司牧者、教会の担当司祭あるいは協力者とその方がよく連絡を取れるようでなければなりません。

また、もっと教理や聖書、あるいはその他の典礼のことでも勉強したいという方が多数おられます。
それはそれぞれの小教区で勉強会を開催していただければよろしいのですけれども、教会の規模にもよりますし、司祭は忙しいですので、さらに教区レベルで、あるいは県ごとに信仰を深める講座などを開設することが望ましいと思います。

【キリスト教の難しさ】

ここで、ご一緒に考えてみたいことがあります。
キリスト教というのは、日本の社会ではとういう宗教として受け取られているでしょうか。
教会の外にいて、我々の言動や我々の教えがよくわからない、といって批判している人がたくさんいます。
どういう点が受け入れがたいのか、どういう点がつまずきなのか、どういう点が不可解なのでしょうか。

また、ほんとうに素朴な疑問があります。人は死んだらどうなるのでしょうか。
神様が創った世界にどうしてこういう悪いことがあるのでしょうか、などという疑問です。
そのような疑問に答えるという課題を大切にしたいと思います。

東日本大震災は、色々な宗教者にある意味で一つの大きな挑戦をしました。
日本に住んでいたカトリック信者の少女エレナさんの質問、
「日本に住む子どもたちは、どうしてこんな怖い思いをしなければならないのでしょう。教皇様、神様に聞いてください」
というような質問に対して、ベネディクト16世教皇は誠意をもって答えました。

また、「証し」ということも大切です。
人々はわたしたちが何を信じ、何を言っているかということよりも、自分の言っていることをどのように生きているかということに敏感です。
どのようにわたしたちは毎日を生きているか、口では綺麗なことを言っているけれども、生活はまるでなっていないのでは……。
こういうことがあれば、人々にはつまずきになるのかなと思います。

【新福音化委員会】

そういうわけでわたしたちには、キリスト教の教えに対する無理解や誤解をどのように受け止めて、それを解く努力をするかという課題があります。
そこで「新福音化委員会」を設置し、以上の課題に取り組むことにしました。
信徒の皆さんのご理解とご協力をいたたき、信徒の皆さんにもこの委員会に参加していただきたいと思います。

教会報 2017年4月号 巻頭言

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