2020年6月

復活者のことば(その1)
御前(みさき)ザビエル

十字架にかけられたキリストのことばが七つあります。
愛する方が去っていく前の最期のことばを大切に心に留めて、思い巡らします。
同じように、復活されたイエスの重みのあることばは、福音書に書き残されて、教会の歩む道を示しています。
この大切なことばがなければ、教会、そしてそれぞれの小教区の共同体という「船」はバラバラになり、この世に新型コロナウイルスのように吹き荒れる嵐に左右され、沈んでしまうに違いありません。
とてもありがたいそのことばを一つひとつ吟味したいと思います。

  「おはよう」、「恐れることはない」(マタイ 28・9〜10)

墓に来た女性たちに与えられたイエスの最初のことばとしてマタイの福音書にあります。
ありふれたあいさつではありません。
わたしが生まれたフランスのことばに訳せば「Bonjour」、「良い一日を!」となります。
ある聖書には、「喜びあれ」とあります。
「喜びなさい。恵まれた方よ。主はあなたとともにおられます」と天使が聖母マリアに告げたことばを思い出します。
また、「見よ、それは極めて良かった」と世界を創造された神の驚きのことばをも思い起します。
イエスの復活によって、新しい創造の始まり、喜ばしい世界の誕生を感じます。
「万物を新しくする」(黙示録21・5)主に感謝を!

緊急事態宣言が解除になった今、主イエスの復活の喜びをいっぱいいただいて、恐れずに、人々のために心から、「良い一日を」過ごせるようにと祈り、行動することができますように。

  「あなたがたに平和があるように」「聖霊を受けなさい」(ヨハネ 20・19〜22)

イエスを裏切り、イエスが一番苦しまれていたときに、その教えをともにすることができず、逃げ去った者 ―― わたしたちもその中の一人です ―― に対して、復活されたイエスはまず平和を与えてくださいました。
このことばは計り知れない力をもたらしてくれます。
平和、それはただ精神的なものであるよりは、死に打ち勝ったイエスがともにいてくださることによって得られる、神との和解です。
「死の恐怖のために一生涯、奴隷の状態にあった」(ヘブライ人への手紙 2・15)わたしたちの解放、救い、いのちです。
復活されたイエスのいのちは死より強く、イエスのゆるしは弟子たちとわたしたちの裏切りより、はるかに大きいのです。
この二つの勝利を告げ知らせるために、「聖霊を受けなさい」とイエスは勧めています。
わたしたちも勧められています。
(7月に続く)

教会報 2020年6月号 巻頭言

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