2022年5月

病者と福音の喜びを分かち合う
御前(みさき)ザビエル

主イエス・キリストの復活の喜びをいただいたわたしたちは、ご病気や高齢によって望むように教会に来られない方々を忘れることはできません。
「相互の交わり」に熱心であった初代教会のキリスト者に倣って、現代、信仰生活において不自由を強いられている兄弟姉妹を訪問して、信仰、希望、愛を養うみことばを分かち合い、ご聖体を授ける使命がわたしたちにはあります。
互いに信仰生活を支え合い、教会との交わりを保てるように奉仕することはとても大事なことです。
コロナウイルスの恐れがある限り、十分にその奉仕ができないかもしれませんが、病者訪問について話し合い、訪問してほしいと望む方々の声を聞き、一人ひとりに応えなければなりません。

信徒が大きな病の床にあるとき、または事故等で症状が重いときは、早めに教会に知らせて司祭を招き、「病者の塗油」の秘跡を受けるように勧められています。
第二バチカン公会議以前は「終油の秘跡」と呼ばれていて、死に臨む人に授けられる秘跡というイメージが強かったのですが、現在は、生死にかかわりなく、長期療養の人や、手術前の人にも授けられます。
病の苦しみを和らげ、病者に聖霊の恵みをもたらし、神への信頼を強め、病気の回復を祈るものです。
肉体的な回復だけでなく、病苦によってキリストへの信仰を見失うことのないように祈りがささげられます。
病者の塗油とともに、希望すれば聖体の秘跡とゆるしの秘跡も受けられます。病状が悪化すれば、再度、病者の塗油の秘跡は受けられます。
また、物心ついている子どもも受けることができます。

なお感染の恐れがなければ、年に1回程度、重い病気を患っている方や、高齢のため著しい衰弱を感じている方のために、合同で「病者の塗油」にあずかれるように配慮するのも大切です。

病者の塗油やご聖体を授けることは一方的な奉仕ではありません。
さまざまな形で支え合っている兄弟姉妹として、病床にあっても、奉仕として、世界の平和と人々の救いのために祈ることはできます。
病者も、キリスト者としての使命を果たせる、ということは素晴らしいことです。

教会報 2022年5月号 巻頭言

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