教会報の巻頭言

聖ミカエル 聖ガブリエル 聖ラファエル大天使
中嶋義晃神父

聖書に登場する著名な聖ミカエル、聖ガブリエル、聖ラファエル大天使は、新典礼暦によって一括して9月29日に記念されます。

聖ミカエル大天使
ミカエルは、「神と似た者」という意味で、ダニエル書(10・13)に、イスラエルを助ける天使として描かれ、ヨハネ黙示録(12・7)でも悪魔に対して戦ったと記されています。
新約時代でもミカエルに対する崇敬は広く行われていましたが、5世紀にイタリアのガルガノ山上で出現して以来、ますます盛んになりました。
また、この大天使聖ミカエルは日本の保護者です。
1549(天文18)年8月15日、聖フランシスコ・ザビエルは鹿児島に上陸し、さまざまな準備を整えてから薩摩藩主、島津公に宣教の許可を得ました。
その日がちょうど9月29日、大天使ミカエルの祝日に当たっていたので、聖フランシスコ・ザビエルは大天使聖ミカエルを日本の守護者と定めて、そのお助けを求めつつ宣教を始めました。

聖ガブリエル大天使
ガブリエルは、「神の力」という意味で、ダニエル書では神のメッセージを預言者に伝えています。
新約聖書の中では特別な役割をもち、ザカリアに洗礼者ヨハネの誕生を、聖母マリアに救い主イエスの誕生を伝えています。
紀元前580年ころ、バビロンへ流刑させられたユダヤ人の中にダニエルという少年がいました。
彼は他の3人のユダヤ人少年とともに選抜されて、バビロン王ネブカドネツァルの宮殿で3年間カルデア文学を学び、さらに預言のたまものを授かり、王の夢を解いて大いに王の信任を得ました。
唯一の神を信じるダニエルは、ある日のこと、王が建造した金の像を拝みませんでした。
そのため王の怒りをかい、火の炉の中に投げ込まれたが、不思議にも火傷をしませんでした。
また、次の王ベルシャツァルの世に、王宮の白壁に書かれた不思議な文字を解読して、一躍、政府の高官に上げられました。
ところが、間もなく敵に貶められて、獅子の穴に投げ込まれましたが、神のご加護で獅子には襲われませんでした。
その後、ダニエルは引き続き、厳しい苦行や大斎をして、人々の罪のゆるしを祈り求め、救い主の降臨を待望していました。
ある日、チグリス川の岸辺で、数人の友と祈っているところへ、突然白い服を着て、金色の帯を締め、雷光のように輝く天使が現れました。友人たちにはそれが見えなかったのですが、なんだか怖くなり、ダニエルだけを残して逃げ去りました。
ダニエルも驚き恐れてひれ伏していると、天使は「ご安心なさい。わたしは大天使ガブリエルです。
今日、主の使いとしてあなたのもとに来たのです」と優しく言って、諸国の興亡を詳しく告げました。

≪……翌月へ続く≫

教会報 2024年9月号 巻頭言

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