教会報の巻頭言
聖年(Holy Year, Jubilee Year)
中嶋義晃神父
聖年とは、本来は、ある一定の期間をおいてローマを訪れ、決められた条件に従って祈る信徒たちに、教皇が聖年の大赦(the Jubilee)と呼ばれる特別免償を与える1年です。
平和と免償を祈る1年といえます。
この背景には、旧約聖書の「ヨベルの年」(レビ記 25・1~55参照)の、土地の安息、負債の免除、奴隷の解放という50年ごとにめぐってくるヘブライ人の聖年の考えがあります。
第1回目の聖年は、教皇ボニファティウス8世の命によって1300年に行われました。
そして、ボニファティウス8世は、この時、100年ごとに聖年を挙行することを決めました。
しかし、教皇クレメンス世によって、50年ごととされ、教皇ウルバヌス6世は、さらに聖年の間隔を33年にすることを決定しました。
1470年、教皇パウロ2世は、さらに聖年の間隔を短くし、25年に1度、聖年を挙行することを決めました。
そして今年の聖年は、教皇フランシスコによって布告されました。
以下にバチカンニュースの一部転載し紹介します。
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教皇フランシスコは、聖年公布の大勅書『希望は欺かない』を発表された。この大勅書は、2024年5月9日、「主の昇天」の祭日、バチカンの聖ペトロ大聖堂でとり行われた夕べの祈りのはじめに、代表者らに手渡され、読み上げられた。
勅書のタイトル、『希望は欺かない』は、使徒聖パウロの「ローマの信徒への手紙」にある、「希望はわたしたちを欺くことがありません」(ローマ5・5)という一文から取られている。
タイトルの下には、「フランシスコ、ローマ司教、神のしもべたちのしもべ」「この書簡を読む人々の心が、希望で満たされますように」とある。
その冒頭部、1項で教皇はこのように述べている。
「希望はわたしたちを欺くことがありません(Spes non confundit)」(ローマ5・5)。
使徒パウロは希望のしるしの名のもとに、ローマのキリスト者の共同体に励ましを与えます。
古来の伝統に従って教皇が25年ごとに宣言する、次の聖年の中心となるメッセージも希望です。
わたしは、聖年を過ごすためにローマを訪れる人たちと、使徒ペトロとパウロの町に行くことはかなわずとも部分教会において聖年を祝う人たち、そうしたすべての希望の巡礼者のことを思います。
すべての人にとって聖年が、救いの「門」である主イエス(ヨハネ10・7、9参照)との、生き生きとした個人的な出会いの時となりますように。教会は、主イエスを「わたしたちの希望」(一テモテ1・1)として、いつでも、どこでも、すべての人にのべ伝える使命をもっています。
続く、「希望のことば」の項で、教皇は、次の聖パウロのことばを引用している。
「わたしたちは信仰を義とされたのだから、わたしたちの主イエス・キリストによって神との間に平和を得ており、このキリストのおかげで、今の恵みに信仰によって導き入れられ、神の栄光にあずかる希望を誇りにしています。
……希望はわたしたちを欺くことがありません。わたしたちに与えられた聖霊によって、神の愛がわたしたちの心に注がれているからです」(ローマ5・1〜2、5)。
教会報 2025年1月号 巻頭言