2004年7月

快復力のすばらしさ
鈴木三蛙神父

『あなたがたによく言っておく。わたしの兄弟であるこれらの最も小さい者のひとりにしたのは、すなわち、わたしにしたのである』(マタイ25の40)

30日(水)、仕事をしながらTVをつけると、「ためしてガッテン」が切り花の水揚げ法を紹介していました。
ほぼ90度にしおれたバラの花について、切り戻したり焼いたり熱湯につけたりと、巷に流布しているいろいろな方法を試したが水は揚がらない。
ところが達人の花は見事に蘇るのです。
その方法とは葉が水分を蒸発させるのを止めるため葉をぬらし、弱った茎が水を花のところまで届けることができるように、氷を入れた冷たい水に寝かして浸すというものでした。理由を聞けばなるほどと思うのですが、すばらしい技でした。

切り花の、堅い菊の蕾を皆開かせるという方法にも感心しました。
4~5枚葉の先端を切ると危険を感じた菊は成長ホルモンを分泌し、生命力が旺盛となり花を咲かせるというのです。
さらには茎のところに根を出し始め、切り花にして、地に植えられれば根付くことさえ可能だ、とのことでした。
植物のもっている潜在的快復力のすばらしさに驚きを禁じ得ませんでした。

今日7月1日、司祭館横に建てられた埼玉ダルクの開所式がありました。
多くの関係者が見守る中、ダルクの看板が掲げられ、谷司教様によって祝福されました。
その後関係者一人ひとりが祝辞を述べましたが、新しく責任者となるT氏の笑顔と優しさにふれる話が多かったと思います。
そんな中で某氏は
「かつて法を犯して薬物を乱用し、迷惑をかけた者が明るい笑顔を見せているのはけしからん、と叱られたこともありますが、この障害からの回復には笑顔が一番です。これからも、治療のために訪れる人に変わらぬ笑顔で接してください」
と挨拶していました。

かつては苦しみの中にあり、社会の中で何度も挫折を味わった人も、薬物中毒からの回復プログラムによって、互いに支え合いながら、自ら薬物を断って立ち直ることも可能だということ、そして私たちが、その回復プログラムを指導する人たちの隣人となれたことを喜びたいと思います。
1錠数千円という、小学生でも買える値段で薬物が販売されているため、今や小学生にまで薬物汚染が進んでいる現状ですが、「薬物中毒者を救えるのは、かつての薬物中毒者だけ」とのこと。

彼らの働きに期待するとともに、私たちも隣人として祈ることはもちろんのこと、物質的にもできる限りの協力をしたいと思いました。

教会報 2004年7月号 巻頭言

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