2005年12月

イエスは世の光
藤田恵神学生

「12月25日はイエス様の誕生日じゃないの?」
ある中学生の女の子からこんな質問を投げかけられました。
その子は社会の先生から、キリスト教のお祝いが事実と異なる季節に行われていることをからかわれながら聞かされて、ショックを受けていました。

確かにイエスが生まれたのは、冬ではありません。
幼子を最初に見た羊飼いたちが野宿をしていた(ルカ2章8節)ことから、春から秋にかけての季節だったと推測されています。

初代教会では、イエスがいつ生まれたかという日付に、特に関心を持っていなかったようです。
むしろ神様が目に見える形でこの世に現れたという事実をお祝いすることに喜びを感じていました。

最初にキリスト教を認めたローマ皇帝は、ローマ軍人が信仰していた太陽崇拝を利用したかったようです。
12月25日はローマ暦の冬至に当り、この日を境に日が長くなることから、お祝いする習慣がありました。

ただし重要なのは、イエスは自らを「世の光」(ヨハネ8章12節)と表現したように、闇に覆われた地上に光をもたらすという意味(ヨハネ1章)が、イエスの誕生にありました。
創世記の天地創造物語でも、神の最初に発した言葉は「光あれ」でした。

ですからこの日にイエスの誕生を祝うのは、歴史的事実ではないですが、当時のローマの人々には理解しやすい象徴的な日でした。
私たちは歴史的人物であるイエスを信仰しているのではなく、神がこの世に贈ってくださった罪のあがないと救いのしるしであるイエスを信じているはずです。

イエスは今から2000年ほど前に、確かにユダヤの地で生まれました。
それは地上に喜びの光をもたらしました。
冬至の日にお祝いするのは不自然ではありません。
その姿は、人々を軍事力で治める王としてではなく、弱い人、貧しい人、困っている人に寄り添って生きようとする姿でした。

25日のミサの中で「ふれあいくらぶ」の子供たちの聖劇が演じられます。
浦和教会の愛と希望の象徴といっていい子供たちと、お母さん方が一生懸命練習して完成させたものです。
子供たちの熱演にご期待ください。

教会報 2005年12月号 巻頭言

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