2012年9月

石川神父さまを偲んで
吉川孝政神父

8月14日、群馬・西毛病院で、石川能也神父さまは、神様の元に戻られました。

私は15年ほど前、26才のころから、神父さまがベトナム難民支援のために働く、群馬・「あかつきの村」に4年間いました。その少し前、私がまだある修道会の志願者のころ、初めて神父さまと出会いました。ベトナム人のブラザーと正月休みを利用して東京へ。少し足を伸ばして、あかつきの村まで行こう、となって。着いてみると、家には誰もいず、ボイラー室に行ったらどこかの“おっさん”が。「明けましておめでとうございます」と挨拶したら、「あ~、おめでとう、私が石川です」と。

数年後、あかつきの村に行くことになり、石川神父さまから「グループホームの職員にならないか」と提案されました。修道会の責任者に話すと、「いいんじゃない」と言われ。2年で帰るつもりでしたが4年となり、生活を通じ、神父さまを通じ、いろんな出会いがあり、私はさいたま教区の神学生になることになりました。まさかここで自分の人生の転機が訪れるとは思いませんでした。

4年間一緒に生活する中で、神父さまは豪快、常に小さくされた人の視線で生きる、大いに食べ、大いに話し、大いに飲み…。今もそういう姿を思い出します。一緒に廃品回収に行ったこともあるし、さいたま教区の神学生になりたいと神父さまに話したら、「おめでとう」とにこにこしながら、おっきな手で握手してくれました。

神父さまは、ベトナム難民の人たち、中でも精神障がいを負ってしまった人たちを、体を張って世話しました。寝る暇も惜しんで一生懸命働きました。晩年は、入院生活が続いて大変でしたが、神父さまは与えられた、「共に生きる」という召命を生き切った、偉大な先輩でした。

主よ、永遠の安息を石川神父さまにお与えください。石川神父さま、75年間、お疲れさまでした。

教会報 2012年9月号 巻頭言

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