2014年12月

一足早い、クリスマスプレゼント
吉川孝政神父

待降節に入りました。浦和駅西口に出ると、もうすでにイルミネーションの光が輝き、クリスマス気分を醸し出しています。店をのぞくとクリスマスプレゼントなど、ありとあらゆるものがあふれています。

先日、驚いた出来事がありました。あかつきの村(群馬)の友人から電話があり、「Kさん、知ってる?」と。「あなたが前働いていた施設の教え子だって言ってるわよ」。それでハッと思い出して、電話番号を聞いて、かけてみると懐かしいK君の声。20年ぶりの電話での「再会」でした。当時私は21歳で、K君は高校1年か2年生でした(前回書いた教え子とはまた別の子です) 。「吉川さん、いま何してんの?」と言うので、「教会で神父してるよ」と答えると、「え~!」と驚き、「でもあの頃から、神父になりたいって言ってたね」と。

彼はいま、数年前に病を得て闘病生活を送っています。あかつきの村から、ずいぶん前に私が1回だけ出したハガキを偶然見つけて、懐かしくなって電話してきたようです。彼の現状を数十分電話で聞きながら、まさか連絡をとってくるとは思わなかったのでとてもうれしくなりました。闘病生活をしている彼の現状を聞くと、どうすることもできなくて心が痛みました。「今度大分に帰ったら会おう」と約束して電話を切りました。

彼のいまの苦しみを感じ、「何かあったらいつでも電話して来なよ」と言うことくらいしかできませんでした。けれど、私のことを覚えていてくれたことが、うれしかった。こうして覚えてくれていたことでもうれしいのだから、神さまが決して私のことを忘れず、覚えていてくれるということは私たちに喜びと希望を与えてくれます。神さまが、「わたしたちと共にいたい」と人類に約束したことを忘れずに、イエスを世界に贈って(送って)くださった出来事がクリスマスです。20年ぶりの電話での再会は、わたしの心に大きな力を与えてくれました。神さまが一足早いクリスマスプレゼントを贈ってくれたと感じています。

教会報 2014年12月号 巻頭言

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