2015年5月

若者たちの戦争の追体験
佐藤智宏神父

3月後半に、私は「さいたま教区わかもの沖縄体験ツアー」に同行してきました。18人の10代後半から20代前半のこの教区の若者信徒たちと共に、第2次世界大戦において、どれほど激しい地上戦が繰り広げられたかを、現地の素晴らしいバスガイドの方にも紹介されながら、参加した多くの若者信徒たちが積極的に耳を傾け、自分たちの器に応じてあの痛ましい戦争を追体験していました。「私がその日その時、この地上戦に身を投じていたらどうなっていたか?」を…。

何よりも、この戦時中、この殺戮的な沖縄の地上戦では、自分たちと年が変わらない10代の学生たちが戦争に駆り出され、次々とその若き、将来に夢を持つ、尊い生命が何万と奪われたことに、あらためて涙ながらに悲しみを訴える若者が多くいました。現地の人に直接戦争の痛ましい体験を聞き、それを各自の力に応じて自分のこととしても受け止める若者たちの心から出ることばと涙は、決して忘れられない思い出となりました。

今年、戦後70周年の節目にあたりに、多くのこの国に若者たちが、自分たちがこれから背負っていく未来において、この殺戮的な、悲惨な争いを2度と繰り返さぬように神に願い求めると同時に、今回の沖縄体験ツアーのように若者たちが戦争の愚かさと平和の尊さを実際に学ぶ場を、わたしたち教会もより多くのチャンスを与えることの重要性を身を持って体験したツアーでした。

教会報 2015年5月号 巻頭言

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