2018年7月

日ごとの糧を今日もお与えください
教皇フランシスコ

パン。
イエスは、日々の糧=パンを、御父に願うようにと勧めます。
他にはなにもなく、ただパンだけです。言い換えれば、それこそが人生に不可欠なものなのです。
他のなによりも、パンはわたしたちが健康に働くために必要なものです。
悲しいことですが、多くの兄弟姉妹にはパンがありません。
わたしはこう言いたい。パンを投機の対象にするような人は不幸です。
人々が日々の生活のために必要とする基礎的な食料は、誰にでも手の届くものでなければなりません。

日ごとの糧を願うことはまた、「父よ、より質素な生活を送れるように助けてください」と願うことです。
生活はとても複雑になりました。
今日では、多くの人々が夜明けから夕暮れまで、数え切れないほどの電話やメールに追い立てられ、「熱狂している」かのようです。
他の人の顔を見る余裕すらなく、複雑で、絶えず変化する問題によるストレスに満ちています。
不必要な面倒を省き、地に足のついたライフスタイルを選択する必要があります。
今日、わたしたちがその記念日を祝う聖アロイジオ・ゴンザガ修道者のように、流れに逆らう人です。
そこには、生活を満たしても心を空虚にするものすべてを放棄することが含まれます。

兄弟姉妹の皆さん、質素さ、「日ごとの糧」が示す質素さを選び、真の人間の生活のパン種となる、「沈黙」と「祈り」がもたらす勇気を再発見しましょう。
物ではなく「人」を選び、バーチャルではない、人格的な交わりを花開かせましょう。
わたしたちの周りの、親しみある生活の匂いをあらためて大切にしてください。
わたしが子どもで家にいたとき、パンがテーブルから落ちたら、それを取り上げてキスするように教えられました。
日々の生活の中の、単純なことを大事にしていきましょう。
それを実行せずに止めてしまうのではなく、感謝して大切にしましょう。

世界教会協議会(WCC)70周年訪問の際のミサ説教より抜粋 2018年6月21日 於ジュネーブ

教会報 2018年7月号 巻頭言

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