2023年7月

聖カミ口
中嶋 義晃 神父

今回紹介する聖人は、聖カミ口(レリス)司祭、「カミロ会」の創立者
病院・病人の守護聖人で赤十字活動の先駆者となった方です。
記念日は7月14日です。

聖カミロは、1550年5月25日、アドリア海に面したイタリア中部のアブルッツイ地方キエーティ市の南方約5キロメートルにあるブッキア、ニコ町で、カルロ五世の軍隊の将校レリス家に生まれました。
母は、カミロが13歳の時に亡くなり、それからカミロは親戚に引きとられて育てられましたが、18歳の時ベネチアの軍隊に入隊しました。
その間に、ギャンブルを始め、給料も衣服も、それにつぎ込んで無一文になってしまいます。
1571年、足に軽いかすり傷を受けます。
それが化膿して悪化し、激痛の発作で歩行もできなくなってしまいます。
やむをえず、21歳で除隊して故郷に帰るのですが、傷が少し良くなると、持ち前のギャンブル癖のために、軍隊で貯めた少額の金をすっかりなくしてしまいます。
困窮のあげく、物乞いになっていた時に、2人の「カプチン会」の修道士に出会って助けられ、修道院に引きとられました。
25歳の時に「カプチン会」に入会したものの、長続きはせず、足の傷の悪化も伴い、ここを去って、ローマの聖ヤコボ病院に入院することになります。
この入院生活が、カミロの転機となったのです。
ここで、フィリポ・ネリに出会うのです。

この出会いによって、カミロは初めて生きていくことの意義を教えらました。
自分の足の傷など問題にならないようなひどい病気、外傷に苦しんでいる人がいる。
自分の過去の償いとして、この病苦に悩む人たちの苦しみを和らげることに身をささげよう、とカミロは決心をしました。
カミロはフィリポ・ネリを訪れ、看護修道会を創立したいという望みを打ち明けます。
するとフィリポ・ネリは、病人の肉体だけではなく霊魂をも看護すべきで、そのためには司祭になった方がよいと勧めます。

それでローマのグレゴリアン大学で神学を学び、34歳で司祭に叙階されると、カミロは2人の同志を得て、昼は病院で働き、夜はテヴェレ河畔の借家で信心業に従事します。
これが「カミロ修道会」 の始まりです。
病院での患者の心身両面の奉仕を目的として創立され、1586年、シクスト五世によって認可され、修道服の胸部に布製の赤い十字架を付けることが認められます。
赤い色はキリストの御血を表したもので、これが後の赤十字運動の先駆けとなりました。
同年、ナポリに最初の支部が設けられましたが、カミロはこの支部の建設のために14年間ナポリに滞在し、寄付を集め、貧者、病人のための活動費に当てたそうです。

「病人のよいしもべは、病院で死ぬ」と彼がいっていたように、生涯を病人のためにささげました。
彼の創立した会は、「聖カミロ修道会」として全世界に広まっています。

教会報 2023年7月号 巻頭言

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